なぜホームページのリニューアルがおすすめできないのか

10年以上、ウェブサイトやホームページの制作に携わってきた私のところには、ホームページのリニューアルで数百万円を溶かした、という涙の相談が毎年のように来ます。それが、たとえば、どうしても成し遂げたかった念願のリニューアルならまだよかったでしょう。どんなに大量のゴールドを熔かしてでも、なにかが自己実現されていれば意義深いものです。

一方で、失敗のリニューアルというのは、なにか目的があったはずなのに、それが実現されずにお金とエネルギーの浪費で終わってしまった、ということです。

この失敗の原因、浪費の原因というのは単純ではありません。「業者選びが悪かった」とか、「デザイナーが微妙だった」とか、「予算が足りなかった」とか、そういうわかりやすい線形のものではなく、もっと根本的で本質的なものです。

それについて解説していきますが、これ自体が「おすすめできない理由」となります。不安なこと、不明なこと、困難なこと、もっとよく理解したいことなどがある場合、ぜひ弊社にご相談ください。なにも売りつけたりしないので、ウェブサイトやホームページについて、あるいはウェブマーケティングについて、生成AIやDXについて、一緒にひとつでも不安を解消しましょう。

リニューアルの目的と喫緊の課題

冒頭で話したように、「リニューアルすること」それ自体が目的の場合は、リニューアルしたことで目的達成です。これはめずらしいことなので、いまは考えません。

9割以上の場合は、なにか目的があって、その手段として「ホームページのリニューアル」があるはずです。たとえば、ブランディングの強化とか、ウェブマーケティングの施策とか、セキュリティの向上とか、新規コンテンツの制作と管理とか、情報発信基盤の再構築とか、顧客とのタッチポイントの増強とか。

それらの目的が達成されたときには、もっと喫緊の課題が解決されることが想定されているはずです。たとえば、売上の積み上げとか、利益体質の改善とか、業務改善・自動化・働き方改革による人事や人件費の削減とか、マーケット拡大とか、データ活用による顧客理解やセールスのブラッシュアップとか。

リニューアルはひとり歩きするようになる

ホームページのリニューアルで成し遂げたかったことがあったはずなのに、リニューアルはひとりで歩きはじめてしまいます。担当者同士の伝言ゲームだったり、ディレクター不足だったり、業者選びのミスマッチだったり、デザイナーの能力不足だったり、そもそもの予算不足だったり。いろんな原因がからみあって、なぜリニューアルをすべきだったのか、という最重要事項が直視されなくなっていきます。

逆に言えば、なぜリニューアルすべきだったのか、というポイントを絶対に押さえているひとが社内にひとりいるべきです。

「業者」と協働することのむずかしさ

優良な業者というのは、その道のエキスパートとしてお金をいただきます。WordPressに詳しいとか、Shopifyの開発実績が豊富とかいろいろあります。わたしも、労働時間が8時間では足りないタイプで起業したぐらいです。

その一方で、たとえば、「歯科医業界」に関するリアルな知識を持っていないです。クライエントさんが歯科医というマーケットにアプローチしたいというときに、業界のひとにいろいろヒアリングして一次情報をかき集めないとなんにもできません。

業者というだけで、「ウェブサイトのエキスパートなんだから」で万事オッケーかというとそうではなく、おたがいの認識や知識を持ち寄って協働する必要があります。早い段階から協働を当たり前にできないと、リニューアルは失敗します。

リニューアルがそれほど最適とは言えない場合がおおい

以前に、「業界に若くて勢いのある起業家が増えたから、目にとまるようなデザインに刷新したい」というリニューアルを承ったことがあり、こうした目的は非常に明快でわかりやすいと思います。

一方で、「ウェブで集客したい」というちいさな店舗さまがあったとして、優先順位としてはGoogleMapの充実(MEO)とか、ソーシャルメディアでの発信とか、そっちにエネルギーを割いたほうが圧倒的に効果が見込める場合がよくあります。

リニューアルしてもらったほうが弊社は売上につながりますが、お金とかではなく、失敗して不幸になっているひと、涙を流しているひとをよく見ている以上、最適ではない場合はほかの提案をさせていただいています。

おなじ理由から、「AIの導入」が先に決まっている状態の相談者さまに対して、AIを導入するにあたって絶対に必要な技術的な基盤をつくるほうをおすすめいたします。わかりやすく極論を言ってしまえば、AIに50万円つかう前に、10万円のハイスペックパソコンを5台購入しましょう、ということです。

まとめ

ホームページのリニューアルは、お金もエネルギーもつかうのに失敗しやすいです。その失敗の原因も複雑で、重層的です。

最初はどこかにあったはずの目的や課題がいつの間にか見えなくなってしまうことや、業者との協業・意識合わせ・ナレッジの共有などが非常にむずかしい点や、そもそもリニューアルが最適ではない場合などがあります。

そのうえで、ようやく業者選びとか、技術的な選択とか、具体的な予算の見通しとか、リニューアル後の効果計測とか、点検とか、おおきな変化に対する適応とか、ひとつひとつが一筋縄ではいきません。

弊社の技術部門は「一生づきあいできる技術パートナー」になることをミッションとしています。どんな不安でも寄り添って向き合っていきます。無理に売りつけることはないので、ぜひお声がけください。